美容の治療は日進月歩なので、セミナーや学会などに出席してマメに情報を収集していないと、情報通の患者さんよりも情報が遅れる、なんて事態になりかねません。

最先端治療の情報を手に入れ、いち早く患者さんに提供する、というのは一つのサービスの在り方として重要であり、それを得意とするクリニックや先生もいらっしゃいますし、中にはレーザーや製剤、医療材料の開発にまで携わるほどの先生もおられ、敬服しております。

私も、リサーチして常に情報をアップデートすることは重要だと思っているので、必要であれば東京でも海外でも足を運んで情報収集に努めておりますが、最先端過ぎる治療をパイオニアとして患者さんに行うことは控えております。

新しい治療方法や新しいレーザーは、後から問題点が発覚する恐れもあるからです。

例えば、レーザートーニング※は一大ブームになりましたが、まだ十分なプロトコールが練られていないうちに流行り過ぎて、シミの種類の診断ができない医師や、レーザーに習熟してない医師まで施術するようになったことで、数年後にトラブル症例が多数露呈し、トーニング賛否両論がさんざん医師の間で議論されました。現在は、正しい診断を行える医師が慎重に症例を選び、適切な施術方法で施術することで、副作用なく効果が出せることも分かってきたため、当院でも最近レーザートーニングは症例を増やして施術しております。

ご高名な先生やレーザー会社がイイと言ったから、業界で流行ってるので乗り遅れたくないから、と新しい物に飛びついて、十分に吟味されないままに行われる治療は患者さんを時に不幸にすることもあります。

誤解を恐れずに申し上げれば、私は美容医療は「後出しじゃんけん」でもいいんじゃないか、と思っています。多くの医師の経験をふまえて、しっかりと結果が出せるやり方が確立してから、本当に効果が出せる良い治療を吟味して、患者さんに施術したいからです。
ただし、命に関わるような医療の場合、後出しでは遅きに失することもあるため、命には関わらない美容医療だからこその「後だし」です。

ただ、周囲の動静を知らずに後出しが過ぎれは単なる時代遅れですし、本当に良い物を見極めるためには、情報をたゆまずアップデートしてバランスをとることや、情報を正しく理解し判断するために常に学会や論文で勉強し、他の先生と情報を交換する必要があります。

最先端の情報収集&勉強+機器や薬剤の導入は後出し(気味)ジャンケン方式で患者さんにとってより良い医療を提供できるよう努めてまいりたいと思います。

西田美穂

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※レーザートーニングとはレーザー機器Medlite C6を使用した照射方法の名称です。一般的なシミへの照射に比べて弱い出力のレーザーを毎秒5~10回照射することで、炎症反応を抑えながら肝斑や顔全体のシミの治療を行うことが可能です。