平野啓一郎著「マチネの終わりに」

平野啓一郎著「マチネの終わりに」

美しくないから、快活でないから、自分は愛されないのだという孤独を、仕事や趣味といった取柄は、そんなことはないと簡単に慰めてしまう。そうして人は、ただ、あの人に愛されるために美しくありたい、快活でありたいと切々と夢見ることを忘れてしまう。しかし、あの人に値する存在でありたいと願わないとするなら、恋とは一体、何だろうか?
~本文より一部抜粋~
あの人にふさわしい自分であろうと思って、息苦しいくらい必死に生きていたのは、確かに恋であったんだろう、と思い出して胸が締め付けられるような気持ちになる恋愛小説を、久しぶりに読みました。
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著者は23歳で芥川賞を受賞した中学校同級生、平野啓一郎君です。「クン」と呼んでいいのか不明なほど現在はスターですが、学校前のバス停で本を読んでいた彼の姿が今でも印象的に思い出されます。同じ空間を共有した同世代が書いたものを読んでみたくて、彼の著作はだいたい読みました。でも、初期の頃は、日本語が難解で、正直まったく意味が理解できない物もありました。現在は、もっと読みやすくなりましたが、常に精神の深奥をえぐる素晴らしい作品ばかりで、読めば読むほど彼の世界観にどんどん引き込まれます。
この本で印象的だったフレーズは「過去は変えられる」というものでした。
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるともいえるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
~本文より一部抜粋~
確かに、その時はすごく辛かった思い出も、今は自分の糧にできているものもあるから、それは過去を変えたのかもしれません。過去の主体は自分の記憶の中に存在するものなので、修正加筆、意味づけの後付け、可能かもな。過去は変えられない、と思っていたので、とても新鮮な発想でした。

 

幸福とは、日々経験されるこの世界の表面に、それについて語るべき相手の顔が、くっきりと示されることだった。

~本文より一部抜粋~

 

さて、今朝の卵焼きが、とってもきれいに出来た喜びは、まず息子に伝えよう。

 

見寺絢子クリニック
西田美穂

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