女医の苦悩:子供さえいなければ:博多駅クリニック女性医師キャリア支援

女医の苦悩:子供さえいなければ:博多駅クリニック女性医師キャリア支援

先日、ある女医さんが、「本当は〇〇先生のクリニックに手術の研修に行きたかった。子供さえいなければ・・・」と、ふと漏らしました。

彼女はとても子供思いの素晴らしいお母さんなので、そうしたセリフを彼女が言うことは少し意外に思いましたが、私自身も「子供さえいなければ」と思ったことがあります。もっと手術のトレーニングを積みたかった。特に、育児で研修を断念せざるを得なかった外科系女医の多くはそう思ったことがあるのではないでしょうか。

子供は勿論可愛いです。でも、医者としてキャリアを積むには子供は「足かせ」となります。

急に熱をだす、急に病気になる。

外来患者さんの予約は詰まっている。

すぐに代わりの先生を頼むことはできない。

「先生に施術して欲しい」という有難いご依頼を無下にできるワケもありません。

自分の子供がどういう状況であろうと、医者という仕事を選んでいる以上、患者さんを優先するべきだと周りからも思われていますし、自分自身もそう思っています。

患者さんを放り出して、自分の子供を優先させる医者は、患者さんと周囲の医者に迷惑をかける医者と認定される。家族に何があろうと、何食わぬ顔で働き続けることが医者の世界では当然とされています。

子供がいるから、手術をいきなりキャンセルするかもしれません、とか、仕事は育児の合間に出来る範囲でぼちぼちやってます、なんていう医者に誰も診てもらいたくなんかありませんよね。

かと言って、子供の病気を放置するのは親として非道。

先日、外来真っ最中に、息子の通っている小学校から電話がありました。

息子が頭部打撲し記憶障害、その後の脳外科の診察で頭蓋内出血の疑いがあり、緊急入院が必要とのこと。

その日は、福大博多駅クリニックの常勤最終日で、大部分の予約は動かしようがありませんでした。博多駅クリニックの脳外科の先生とスタッフに子供をみてもらいつつ、実家の母と夫に電話し、緊急ヘルプコールなどバタバタと対応。一部の患者さんはE先生に施術をお願いしました。

その後、夫の職場の皆さんのご好意で、夫が早退を認めてもらい、(聖心美容クリニックの皆さん、本当にありがとうございました)夫に子供を託して、私は仕事を続けました。色々ご迷惑をおかけしましたが、色々な皆さんのおかげでなんとかその日の外来を終えました。本当にありがとうございました。

息子のことは大好きで、可愛くて仕方ありませんが、仕事も大切ですし、医師を生業としている以上、プロフェッショナルとして仕事には妥協したくありません。仕事もママもちゃんとやりたいというのは、欲が深すぎるかもしれないと罪悪感も感じます。

罪悪感:これは女性独特かもしれません。男性医師には、働いて子供を犠牲にすることで罪悪感が生じる、という感覚はあまり理解できないようです。

育児と仕事の狭間で、身は一つ。時々引き裂かれるような葛藤。胸が潰されるような心労。その度に、スタッフや、周りの先輩ママや、家族に支えられ、そのおかげでなんとかやっています。子供にも我慢を強いていていると思います。

「子供さえいなければ」と、つい考えてしまう時もありますが、すでに息子のいる人生を経験してしまった今の私にとって 彼のない人生には何の喜びもありません。(もし、子供のいない人生だったとしたら、それはそれで楽しく過ごしているかもしれません。もちろん、子供のいない人生を否定するつもりもありません。)

多かれ少なかれ、多くの育児中の女医さんたち(仕事を抱える女性たち)は周囲に助けられて、色々な葛藤、罪悪感などと戦いながら必死で日々をこなしているんだろうと思います。

とは言え、現実的には、子育て中の医者と一緒に働くと周囲のドクターをはじめとしたスタッフには迷惑がかかることが多く、入試で女医を減らそうとする心情は理解できます。(それを良いこととは思えませんけど。)同じような境遇の医師同士が助け合えるような環境ができることが理想です。

福大博多駅クリニックでは、育児中の女医の時短勤務が認められていたことや、女医さんたちの助け合う仕組みがあり、随分助けられました。こうした職場が増えると、もっと女医さんたちが長く楽しく働けるのに・・・博多駅クリニックでは診療科によらず、育児中の女医さんたちが働きやすいような仕組みがあります。ご興味がある方はぜひ以下のHPにアクセスしてくださいね。

福岡大学博多駅クリニック 女性医師キャリア支援HPコチラ

息子はその後回復し、今はピンピンしています。

西田美穂